ネットワークエンジニアに必要な知識と学習方法について説明します。
ネットワークエンジニアに必要な知識・技術
ネットワークエンジニアに必要な知識は下記の通りです。
- ネットワークの知識
- ネットワーク機器の操作方法
- サーバーの知識
- クラウドの知識
- プログラミングの知識
- マネジメントの知識
以下で、それぞれの詳細について解説します。
ネットワークの知識
ネットワークの基本として、以下のような知識が必要となります。
- ネットワーク種別
- LAN、WAN、インターネット
- ネットワーク(ITインフラ)を構成する要素
- ルーター、スイッチ、ファイアウォール、ロードバランサー、サーバー、ストレージ
- ネットワークプロトコル
- TCP、UDP、STP、OSPF、BGP、etc…
- 通信の仕組み
- TCP/IP通信、ルーティング、スイッチング
- IPアドレス
- IPアドレスの計算、ネットワークアドレス、サブネットマスク、ワイルドカードマスク
- パケットの構造
- パケットキャプチャ、Wireshark
ネットワーク機器の操作方法
ネットワーク機器は、様々なベンダー(メーカー)から提供されています。そのため、代表的なベンダーと主要機器について、操作方法を覚える必要があります。
- Cisco
- ルーター、L2/L3スイッチ
- NEC
- ルーター
- YAMAHA(ヤマハ)
- ルーター
- アライドテレシス
- ルーター、L2/L3スイッチ
- PaloAlto
- UTM/ファイアウォール
- Fortinet
- UTM/ファイアウォール
- F5
- ロードバランサー
- Aruba
- 無線AP
サーバーの知識
ネットワークエンジニアも以下のようなサーバーを構築する機会があるため、LinuxやWindowsサーバーの基礎知識が必要となります。
- DHCPサーバー
- クライアント端末にIPアドレスを払い出すためのサーバー
- DNSサーバー
- 名前解決を行うためのサーバー
- SMTPサーバー
- メールを送信するためのサーバー
- ネットワーク監視サーバー
- ネットワーク機器やサーバーを監視するためのサーバー
- SNMPサーバー
- SNMPによる情報収集やTrap通知を受け取るためのサーバー
- Syslogサーバー
- ネットワーク機器やサーバーのログを収集するためのサーバー
- NTPサーバー
- 時刻同期を行うためのサーバー
DHCPサーバーとDNSサーバーの構築方法は下記を参照してください。
クラウドの知識
AWS・Azure・GCPをはじめとする「パブリッククラウド」の知識もネットワークエンジニアにとって重要です。基本的なサービスの概要は抑えておきましょう。
項目 | AWS | Azure | GCP |
---|---|---|---|
運営会社 | Amazon | Microsoft | |
仮想ネットワーク | VPC | VIrtual Network | VPCネットワーク |
仮想サーバー | EC2 | Virtual Machine | Compute Engine |
ストレージ | S3 | Blob Storage | Cloud Storage |
サーバーレス | Lambda | Functions | Cloud Functions |
データベース | RDS | SQL | SQL |
ネットワークエンジニアとしては、オンプレとクラウド間のサイト間VPNの構築スキルは必須となります。
プログラミングの知識
ネットワークエンジニアとして業務を行う場合、プログラミングは必須ではありません。しかし、下記のようなキーワードで、プログラミングが必要な業務が増えています。
- ネットワーク自動化
- ネットワーク運用や構成管理の自動化を行う
- ネットワーク仮想化
- 物理的なマシンではなく仮想的なソフトウェアでネットワークを構築する
- Infrastructure as Code(IaC)
- ソフトウェア開発だけではなく、インフラ構築・管理にもコード(プログラミング)を適用する
ネットワークエンジニアにとってのプログラミングの必要性については、下記を参照してください。
ネットワークエンジニアにおすすめのプログラミング言語は「Python」と「JavaScript」です。
マネジメントの知識
プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャへステップアップするためには、マネジメントの知識が不可欠です。
情報処理技術者試験の「プロジェクトマネージャ」、プロジェクト管理に関するノウハウや手法が体系的にまとめられた「PMBOK」などの勉強を行うことで、管理手法を学ぶことができます。
主な管理項目
- 品質管理(Quality)
- 品質をどのように担保するかを計画し、検証やレビューを通して品質管理を行います。
- コスト管理(Cost)
- プロジェクトに関わる様々なコスト(費用)について、見積もり・予算策定・予実管理を行います。
- スケジュール管理(納期管理 – Delivery)
- 定められた納期を厳守するために、進捗管理や課題管理を通してスケジュール管理を行います。
上記は「QCD管理」と呼ばれ、プロジェクト管理の中でも重要な管理項目です。
その他の管理項目
- スコープ管理
- プロジェクトの目的や対応範囲を明確にする。
- 組織管理
- 要員計画を立て、QCDを達成できる組織を作る。
- コミュニケーション管理
- コミュニケーション方法の統一や会議計画を立て、プロジェクトをスムーズに運営する。
- リスク管理
- リスクを洗い出し、「顕在化しないための対策」と「顕在化したときの対処」を検討する。
【第1章】PMBOKを理解しよう:PMBOK とは
https://products.sint.co.jp/obpm/blog/serial-umeda01
ネットワーク知識・技術の学習方法
ネットワーク知識・技術を身に付けるための方法について説明します。また、それぞれの学習方法のおすすめ(書籍やWebサイトなど)を紹介します。
書籍
メリット
- コストパフォーマンスが良い(比較的安価)
- レビューによる評価が豊富なため良い書籍を選びやすい
デメリット
- 実際の機器の動作を確認することができない
¥費用
- 二千円〜四千円程度/冊
ネットワーク基礎の書籍 3選
CCNAの参考書・問題集 2選
マネジメント関連の書籍 2選
Webサイト
メリット
- Web検索ですぐに必要な情報にたどり着ける
- 新しい技術も調べることができる
デメリット
- ネットワークの基礎から体系的にまとめられているサイトが少ない
¥費用
- 無料
ネットワーク全般のWebサイト 6選
ネットワークエンジニアとして
ネットワークエンジニア御用達のサイトです。
ネットワーク初心者の方は、Network Study を順番に学習していきましょう。
Network Study 1 : 初級ネットワークエンジニア向けネットワーク技術
ネットワークエンジニアを目指して
ネットワークエンジニアを目指す人に向けて、ネットワークに関する情報が幅広く紹介されています。
ネットワーク初心者の方は、下記の順番で学習していきましょう。
matsublog
ネットワークエンジニアの具体的な業務内容やネットワーク機器やサーバの設定についてのノウハウがまとめられたサイトです。特にファイアウォール(Fortigate)の説明が豊富です。
ネットワークエンジニアの小学校
ネットワークエンジニアの仕事内容や勉強方法などの情報を発信しているサイトです。
学校のカリキュラムのような作りになっており、順を追って知識を身につけていくことができます。
ネットワークエンジニアのガイドマップ
当サイトも、ネットワークエンジニアにとって有用な技術情報を発信しています。
当サイトの目的は、全てのネットワークエンジニアが目標とやりがいを持って仕事に取り組み、スキルアップ・キャリアアップできるように、技術情報と業界情報を発信することです。
YouTube(無料動画)
メリット
- 無料で情報を得ることができる
- 動画形式のため実際の機器の動作を確認できる
デメリット
- 広告が表示される ※有料会員になれば非表示にできる
¥費用
- 無料
ネットワークエンジニアに必要な知識を解説しているYoutubeチャンネルを紹介します。※各種情報は、2022年10月時点の情報です。
ネットワークの学習ができるYoutubeチャンネル 3選
ウズウズカレッジ
ITスクール・就業サポートを運営している「ウズウズカレッジ」のチャンネルです。インフラ・ネットワークの基礎から、CCNA試験対策までを解説しています。
基本情報
- 登録者数:4.44万人
- 動画本数:375本
- チャンネル開設日:2014/8/11
▼YouTubeはこちら▼
▼おすすめの再生リストはこちら▼
ねっとびTV【ネットワークエンジニアch】
未経験者向けに、CCNA取得から就業までをサポートしている「ネットビジョンアカデミー」が運営しているチャンネルです。ネットワークの基礎から、CCNA試験対策までを解説しています。
基本情報
- 登録者数:1.26万人
- 動画本数:318本
- チャンネル開設日:2016/7/15
▼YouTubeはこちら▼
show int インターネットの裏側解説
現役のネットワークエンジニアが、ネットワーク技術やインターネットの仕組みを解説しています。実際の業務や業界の裏側も話しているため、知見を深めることができます。
基本情報
- 登録者数:3420人
- 動画本数:123本
- チャンネル開設日:2019/1/3
▼YouTubeはこちら▼
Udemy(有料動画)
メリット
- 一度購入すると無期限で視聴できる
- セールを利用すると数千円で1講座を購入できる
デメリット
- QA対応は一部の講座に限定される
¥費用
- 数千円
ネットワークの学習ができるUdemy講座 5選
ネットワークエンジニアに必要な知識を解説しているUdemyを紹介します。※各種情報は、2022年10月時点の情報です。
ネットワークエンジニアを目指す初心者はここから始めよう!「ゼロから学ぶネットワーク基礎」豊富な図解で徹底解説
- 受講者数:18398人
- 動画時間:6.5時間
- 最終更新月:2022/4
- 定価:¥27,800
\ 評価: 4.2 の動画を確認する /
ITエンジニアを目指すネットワーク基礎講座_初級編
- 受講者数:3058人
- 動画時間:2.5時間
- 最終更新月:2020/12
- 定価:¥4,200
\ 評価: 4.0 の動画を確認する /
ITエンジニアを目指すネットワーク基礎講座_構築編
- 受講者数:1279人
- 動画時間:9時間
- 最終更新月:2022/7
- 定価:¥4,200
\ 評価: 4.4 の動画を確認する /
【完全版】未経験から合格!Cisco CCNA試験対策講座(Packet Tracerのハンズオンも完備!)
- 受講者数:5956人
- 動画時間:37.5時間
- 最終更新月:2022/10
- 定価:¥9,800
\ 評価: 4.4 の動画を確認する /
【超絶入門】CCNA対策 Packet Tracerで学ぶ ハンズオン講座
- 受講者数:1548人
- 動画時間:3.5時間
- 最終更新月:2022/5
- 定価:¥2,600
\ 評価: 4.7 の動画を確認する /
実機での環境構築
メリット
- ケーブル接続などの物理作業を経験できる
- 実際にコマンドを打ちながら環境構築を行える
デメリット
- 費用が掛かる(機器代、電気代)
- 置き場所が必要
¥費用
- 数千~数万円
おすすめ機器 6機種
種別 | 機種名 | ヤフオク参考価格 ※2022年10月時点 |
---|---|---|
ルーター | Cisco 891FJ-K9 | 5千円〜1万円 |
Cisco 1921/K9 | 5千円〜1万円 | |
L3スイッチ | Cisco 3750シリーズ | 1万円〜2万円 |
L2スイッチ | Cisco 2960シリーズ | 5千円〜1万円 |
ファイアウォール | PaloAlto PA-200 | 5千円〜1万円 |
Fortigate-50E | 5千円〜2万円 ※ライセンス状況による |
おすすめ構成 4パターン
ルーター2台
学習内容の例
- 異なるIPセグメント同士の通信
- 基本的なルーティングの設定(スタティックルート、ダイナミックルーティング)
- アクセスリストなどの通信制御
費用
- 1〜2万円
ルーター2台、L2スイッチ2台
学習内容の例
- 異なるIPセグメント同士の通信
- 基本的なルーティングの設定(スタティックルート)
- アクセスリストなどの通信制御
- HSRPやVRRPよるゲートウェイの冗長設定
費用
- 2〜3万円
ルーター2台、L3スイッチ2台、L2スイッチ2台
学習内容の例
- 異なるIPセグメント同士の通信
- 基本的なルーティングの設定(スタティックルート、ダイナミックルーティング)
- ダイナミックルーティングによる冗長設定
- アクセスリストなどの通信制御
- HSRPやVRRPよるゲートウェイの冗長設定
費用
- 2〜4万円
ファイアウォール2台、L2スイッチ2台
学習内容の例
- ファイアウォールの基本設定
- ファイアウォールの冗長設定
- 基本的なルーティングの設定(スタティックルート)
費用
- 2〜4万円
購入方法 3選
学習のためにネットワーク機器を購入する場合は、「ヤフオク!」か「メルカリ」で安価に購入することができます。
Ciscoなどのベンダー機器については「ヤフオク!」や「メルカリ」で安く購入できますが、構築に必要なLANケーブルやHUBなどは「Amazon」でも購入できます。
Amazon
LANケーブル
Amazonベーシック、エレコム、サンワサプライなどの製品を選べば安心です。カテゴリは、自宅での学習用であれば、CAT5e(もしくは、CAT6)で十分です。
HUB
TP-LinkのHUBがコストパフォーマンスに優れています。
シミュレーションソフト
メリット
- パソコン上で手軽に環境を構築できる
- 実際にコマンドを打ちながら環境構築を行える
デメリット
- 費用が掛かる(有料ソフトの場合)
¥費用
- 無料~2万円/年
ネットワークの学習ができるシミュレーションソフト 3選
ネットワークエンジニアがよく利用するシミュレーションソフトの一覧です。本サイトでは、検証できる機能が多い「Cisco Modeling Labs (CML)」を推奨しています。
Cisco Modeling Labs (CML)
Cisco Modeling Labs (CML)とは、Ciscoが公式に提供しているソフトウェアです。
有料ではありますが、GUI上でネットワークを構築し検証を行うことができるため、ネットワークエンジニアにとって非常に有用なツールです。IOSのほぼ全機能を再現できるため、様々な環境での検証を行うことができます。
利用方法については、当サイトでも解説しています。
画面イメージ
Cisco Packet Tracer
Cisco Packet Tracer もCiscoが提供しているソフトウェアです。再現できる機種や機能は限定的ですが、ネットワークの基本的な機能を学習には有用です。
画面イメージ
GNS3
GNS3(Graphical Network Simulator-3)は、Cisco機器をはじめとする様々な機器をシミュレートできるフリーソフトです。
画面イメージ
スクール
メリット
- 体系的に学べるため効率が良い
- 資格取得に直結する
デメリット
- 費用が掛かる(条件付きで無料となるスクールもある)
- 時間が拘束される
¥費用
- 3万円~20万円(条件付きで無料となるスクールもある)
ネットワーク専門のコースがあるスクール 3選
本サイトで紹介するスクールの一覧です。全スクール共通で、CCNAを取得するためのコースがあります。また、「ネットビジョンアカデミー 」は条件次第で無料となります。
スクール名 | ネットビジョンアカデミー | ウズウズカレッジ | TECHHUBメンター |
受講費用 | 無料 or 15万円 | 3万3千円(月額) | 19万8千円 |
受講期間 | 1ヶ月〜3ヶ月 | 1ヶ月〜 | 3ヶ月 |
受講条件 | 無料の場合は条件あり | なし | なし |
就職支援 | あり | あり ※無料オプション | あり |
無料説明会 | あり | あり | あり |
対象エリア | 通学:東京 就職支援:首都圏(原則) | 特に無し ※オンライン講座のため | 特に無し ※オンライン講座のため |
オンライン対応 | あり | オンラインのみ | オンラインのみ |
資格取得率(CCNA) | 99% | 非公表 | 95%以上 |
公式サイト |
経験年数別の学習方法・学習順序
「未経験者」「新人エンジニア」「中堅〜ベテランエンジニア」に分けて、学習方法と学習順序を説明します。
未経験者(ネットワークエンジニアを目指している人)
未経験からネットワークエンジニアになるためのパターンは下記で解説しています。
おすすめの学習方法と順序は、以下の通りです。
- ITスクールで基礎技術を身に付ける
- 「シミュレーションソフト」or「実機での環境構築」で知識を深める
ITスクールは費用は掛かりますが、企業の研修よりも実務に直結した技術を学べるため、就業した後にスムーズに業務に入ることができます。
一方、完全な未経験状態から就業した場合、簡単な研修の後にすぐに現場配属となることも多く、周囲とのギャップで戸惑うことも多いです。そのため、ITスクールで基礎技術を学ぶことをおすすめしています。
新人エンジニア(ネットワークエンジニア歴3年未満)
経験3年未満のネットワークエンジニアは、以下の学習方法と順序をおすすめします。
- 書籍で基礎知識を身に付ける
- 動画(「Youtube」or 「Udemy」)で知識を深める
- 「シミュレーションソフト」or「実機での環境構築」で実務で利用している技術の知識を深める。
「シミュレーションソフト」については、早い段階で取り入れることも推奨します。
書籍や動画での学習時や実務で利用している技術で分からないことがあった時に、実際に試すことで解決することができるからです。
中堅〜ベテランエンジニア(ネットワークエンジニア歴3年以上)
中堅以上のネットワークエンジニアは、知識・技術の幅を広げるために、新しい領域を学ぶことをおすすめします。学習順序に決まりはありませんが、実務で利用する可能性が高いものから学ぶと良いでしょう。
- サーバーの知識・技術習得(LPICやLinuCの資格取得)
- パブリッククラウドの知識・技術習得(AWS/Azure/GCPの資格取得)
- プログラミングスキルの習得(PythonやJavaScriptなど)
- マネジメントの知識
ネットワーク知識・技術以外に何を学ぶかは、将来どのようなエンジニアになりたいかを考えることが重要です。
ネットワークエンジニアのキャリアパス(ロードマップ)については、下記を参照してください。