ネットワークエンジニアの働き方について、担当工程別の1日の業務の流れ、休日出勤、残業時間の例を説明します。
SESの場合、SES会社や派遣先企業によっても大きく異なります。SES会社の選び方については、下記を参照してください。
ネットワークエンジニアの1日の働き方
ネットワークエンジニアの1日の働き方について、担当工程別に説明します。
例1. 設計担当のネットワークエンジニア
設計を担当しているネットワークエンジニアは、基本的に平日日中帯の勤務となります。設計工程の詰めのフェーズになってくると、仕様変更への対応や顧客説明資料の作成等で、忙しくなることがあります。
1日の勤務の流れ (設計担当ネットワークエンジニア)
9時に出社し、メールのチェックを行います。メールだけではなくチャットツールを使うこともあるため、併せてチェックします。
社内メンバーが集まり、案件・プロジェクトの進捗状況や課題が無いかを確認します。また、今後の予定案件の共有等も行います。
担当している案件の設計資料を作成します。設計資料の作成は時間がかかるため、スケジュールを立てて作成していきます。
ユーザーと設計内容の確認を行います。要件に追加・変更が無いか、スケジュールに変更が無いか等を確認します。
翌日に打ち合わせがある場合は、資料の準備等を行います。
例2. 構築担当のネットワークエンジニア(夜間作業)
構築を担当しているネットワークエンジニアの場合、案件によっては夜間作業が発生します。ここでは、夜間のデータセンターでの構築作業を例に説明します。
1日の勤務の流れ (構築担当ネットワークエンジニア)
構築作業を実施するデータセンターへ出勤します。
作業メンバー間で、作業スケジュールや作業手順の認識合わせを行います。必要に応じて、作業対象の機器やケーブルにマーキングを行います。
新規で構築する機器のラッキング作業を行います。
既存の通信に影響を与える切替作業は、時間を決めて行います。予定していた時間になり次第、作業メンバーと連絡を取りながら、作業を実施します。
ネットワークとしての疎通に問題が無いかを確認します。構築作業員が現地で実施する場合と、リモートで待機している別のエンジニアが実施する場合があります。
構築したネットワーク上で、問題なく業務通信が可能かを確認します。業務確認は、別の業務担当者(もしくはアプリ担当)が行うことが多いです。
業務確認に問題が無ければ、後片付けをしてデータセンターを退館します。
例3. 運用監視のオペレーター(24H365D)
運用監視のオペレーターの場合、現場により勤務形態が大きく異なります。
- 24時間365日の監視現場か?(24H365D = ニーヨンサンロクゴ の現場と呼ばれます。)
- 何交代制か?(2交代制/3交代制)
ここでは、日中帯の勤務の場合を例に説明します。
1日の勤務の流れ (運用監視オペレーター)
前担当から引き継ぐインシデントが無いかを確認します。
ネットワーク機器のインターフェースでリンクダウンを検知し、サーバー担当者へ確認。作業影響であることが確認できたため、復旧を確認した後にクローズ。
インシデント対応を行なっていない時は、管理資料の整備等を行います。
出勤メンバー内で交代しながら休憩を取ります。
ネットワーク機器の筐体障害を検知。データセンターの運用担当と連携をとり、対象機器の電源が落ちていることを確認。電源を抜き差ししても復旧しないことから、機器ベンダーと筐体交換手続きを開始。
運用メンバーが集まる定例です。積み残しのインシデントや課題が発生していないかを確認します。
筐体交換の調整状況を後担当へ引き継ぎ、退勤します。
ネットワークエンジニアの休日出勤について
24H365Dの運用監視以外
基本的に土日祝は休日ですが、下記のような場合に、休日出勤が発生する可能性があります。
- 設計工程での資料作成 〜 要件変更等の対応で、期限が迫っている場合
- 既存通信に影響を与える作業 〜 事前調整した上で、休日に実施する場合
- テスト/検証工程での不具合対応 〜 不具合の解決、計画スケジュールへの追いつきが必須の場合
- トラブル対応 〜 原因調査、復旧作業を早急に行わなくてはいけない場合
現場にもよりますが、休日出勤の頻度は少ないと考えて良いと思います。ただし、大規模なプロジェクトで、数ヶ月間に渡り土日の作業を繰り返すこともあります。
24H365Dの運用監視
24H365Dの運用監視現場の場合、土日も含めてのシフト勤務となります。交代制は、2交代制or3交代制等があります。
2交代制の場合のシフト例
3交代制の場合のシフト例
上記のシフトスケジュールは、あくまでも例ですので、現場によって勤務形態は異なります。
ネットワークエンジニアの残業について
ネットワークエンジニアの残業理由
ネットワークエンジニアの残業時間は、配属先や担当工程、案件・プロジェクトのスケジュールによって大きく異なります。突発的な残業が発生する要因としては、以下のようなものがあります。※休日出勤と同様なところも多いです。(残業するか?休日出勤するか?の選択です。)
- 設計工程での資料作成 〜 要件変更等の対応で、期限が迫っている場合
- テスト/検証工程での不具合対応 〜 不具合の解決、計画スケジュールへの追いつきが必須の場合
- トラブル対応 〜 原因調査、復旧作業を早急に行わなくてはいけない場合
- 慢性的なタスク過多 〜 要員不足等でタスクが過多にになっている場合
アプリやサーバーの要件の後にネットワークの要件が固まるため、ネットワークの設計や作業のスケジュールは余裕が無くなることが多いです。これも、ネットワークエンジニアの残業が多くなる要因の一つとなります。
ネットワークエンジニアの残業時間
上述の通り、残業時間は状況によるところが大きいですが、具体的な例をいくつか挙げます。
以下の具体例に関しては、経験に基づく参考値です。残業時間については、労働基準法や各社の労務協定を遵守する必要があります。
社内ネットワークの運用案件
基本的な業務は、社内部署からの申請に基づき、ファイアウォールのポリシー設定やスイッチのVLAN設定を行うことです。このような業務の場合、申請ボリュームや納期は明確に定められているため、通常業務では残業は発生しにくいです。
残業が発生するのはトラブル対応の場合が多いです。社内ネットワークで通信障害が発生した際に、状況によっては緊急を要するため、原因調査〜復旧作業を残業して対応することになります。
・残業が少ない月 : 0〜10時間
・残業が多い月 : 10〜20時間
データセンター移転プロジェクトの設計工程
中〜大規模のネットワークを新しいデータセンターに移転するプロジェクトです。プロジェクト期間は1年で、設計〜検証〜構築工程を担当します。「設計工程の最終段階」や「検証時の不具合発生時」にスケジュールを厳守するために、残業が発生する可能性があります。
残業が少ない月/多い月に振れ幅があるのが特徴です。(落ち着いている時と多忙な時の差が大きいです。)
・残業が少ない月 : 0〜10時間
・残業が多い月 : 30〜50時間
社内ネットワークの集約・効率化案件
社内システムのいくつかを、一つのネットワークに集約することで効率化を図る案件です。案件の立ち上げから参加し、概要検討から参加します。
このような新規案件の立ち上げの場合、計画通りに進まないことも多く、残業時間が増える傾向があります。
・残業が少ない月 : 20〜30時間
・残業が多い月 : 40〜60時間
非IT企業の情報システム部門(ネットワーク担当)
情報システム部門で、企業のネットワークに関するあらゆる案件を担当します。通常時は、自身の裁量でスケジュールが調整できることも多く、残業時間は少なめです。
他部門のスケジュールにより、複数案件を同時並行で進めなくてはいけなくなった場合に、残業が多くなることがあります。
・残業が少ない月 : 0〜10時間
・残業が多い月 : 20〜30時間
まとめ
ネットワークエンジニアの働き方について説明しました。トラブル対応はネットワークエンジニアにとって避けられないため、突発的な残業や休日出勤は、どうしても発生します。また、計画作業としての休日対応や深夜対応も避けられないものとなっています。