ネットワークエンジニアがキャリアパスを検討する際に必要な「キャリア目標の種類」と「ロードマップ」について解説します。「ネットワークエンジニア」についての説明は、下記を参照してください。
キャリアパスを意識することの重要性
ネットワークエンジニアがキャリアパスを意識することの重要性は下記の通りです。
- ネットワークエンジニアとして、どのような将来があるのかを知ることができる
- 将来なりたい姿を明確にし、今やらなくてはいけないことを知ることができる
- スキルアップのための目標(資格等)が明確になる
- どのような知識・技術を学べば良いかを知ることができる
- 転職も含めた自身のキャリアの道筋を考えることができる
- 好きな仕事を選ぶことができるようになる
ネットワークエンジニアのキャリア目標(ゴール)の種類
目標(ゴール)の種類
ネットワークエンジニアが目指せるキャリア目標(ゴール)には以下のような職種があります。
- 技術系スペシャリスト
- ネットワークスペシャリスト 〜 ネットワーク特化のエンジニア
- クラウドスペシャリスト 〜 クラウド(AWS/Azure/GCP)特化のエンジニア
- インフラスペシャリスト 〜 ネットワーク&サーバーを扱えるエンジニア
- フルスタックエンジニア 〜 ネットワーク&クラウド&サーバーを扱い、開発(プログラミング)もできるエンジニア
- プロジェクト管理職
- プロジェクトリーダー 〜 プロジェクトを技術的にリードする役割
- プロジェクトマネージャー プロジェクトの遂行責任を持つ役割
- 組織管理職
- グループマネージャー 〜 複数プロジェクトを束ねて管理する役割
- 課長、部長、 etc… 〜 広範囲のプロジェクトやグループの責任を持つ役割
最適な目標の見つけ方
ネットワークエンジニアとしてのスキルを軸としてキャリア目標を考える場合、それぞれの職種で必要なスキルや知識は下記です。
「どのような業務内容で、どの程度の責任範囲を持つことで、一番やりがいを感じられるか?」ということを意識して、自身の目標を定めましょう。
技術系スペシャリスト
ネットワークスペシャリスト
ネットワークスペシャリストになるためのロードマップです。
一般的に、ネットワークエンジニアとしてのキャリアは、下流工程の「運用・保守・監視」からスタートし、上流工程の「設計・構築」、超上流工程の「企画・提案」へと経験を積んでいきます。
大規模ネットワークの「設計・構築」が行えれば、ネットワークスペシャリストと言うことができます。
資格としては、Cisco系であれば「CCNP」、情報処理技術者試験であれば「ネットワークスペシャリスト」を目指しましょう。
さらに傑出するには、「CCIE」まで取得し、大規模ネットワークの「企画・提案」が行えれば、ネットワークエンジニアとして、最高峰(技術レベル・責任範囲)の仕事をすることができます。
ステップアップのモデルケース
クラウドスペシャリスト
クラウドスペシャリストになるためのロードマップです。
クラウドスペシャリストとは、パブリッククラウドと呼ばれる「AWS(Amazon)」、「Azure(Microsoft)」、「GCP(Google)」の知識・技術に特化したエンジニアです。
オンプレ 環境でのネットワークの設計・構築の経験を積みながら、クラウド系の知識・技術を身につけていきましょう。クラウド環境での「システム設計・構築」が行えれば、クラウドスペシャリストと言うことができます。
AWSの資格の例を挙げていますが、下記のような資格の取得をおすすめします。
- Cloud Practitioner 〜 AWSの基礎的な知識
- Solutions Architect (Associate) 〜 AWSで適切なシステム設計を行う知識
- Solutions Architect (Professional) 〜 AWSの複雑なシステム設計を行う高度な知識
また、上記ロードマップには入れていませんが、サーバーの知識や開発(プログラミング)の知識があれば、クラウド環境をフル活用することができます。
ステップアップのモデルケース
インフラスペシャリスト
インフラスペシャリストになるためのロードマップです。
インフラの2大分野である「ネットワーク」と「サーバー」の双方の知識・経験を有したエンジニアです。
大規模なネットワークで、サーバーの仮想化・セキュリティを含むシステムの「設計・構築」を行えれば、インフラスペシャリストと言うことができます。
資格としては、ネットワーク系の「CCNA/CCNP」、サーバー(Linux)系の「LPIC(Linuc) Level1〜3」を目指しましょう。
また、クラウドの知識・技術に関しても、最低限の知識は身に付けておく必要があります。
ステップアップのモデルケース
フルスタックエンジニア
フルスタックエンジニアになるためのロードマップです。
フルスタックエンジニアとは、企業の「ITインフラ設計・構築」、「システム開発」、「システム運用・保守」までを一貫して対応可能なエンジニアです。
明確な定義はありませんが、インフラ(ネットワーク・サーバー)、システム開発(プログラミング、ミドルウェア)、クラウド関連の幅広い知識と経験を有していれば、フルスタックエンジニアと言うことができます。
ネットワークエンジニアとしてITエンジニアのキャリアをスタートし、フルスタックエンジニアになるには、長い年月が必要です。プログラミングについては、業務で利用する便利ツールを作る等でスキルを身に付けることができます。クラウド関連については、それぞれのサービスの「無料利用枠」を有効活用し、基礎的な知識を習得しましょう。
ステップアップのモデルケース
【参考】テクニカルスキルを伸ばすための転職
テクニカルスキルを伸ばせるかどうかは、会社選びも重要です。キャリアパスを歩むうえで、よりよい就業環境への転職も選択肢の一つとなります。
プロジェクト管理職
プロジェクトリーダー
プロジェクトリーダーになるためのロードマップです。
プロジェクトリーダーとは、プロジェクトを技術的にリードし、主にQCD管理の責任を持つ役割です。※Q:クオリティ(品質)、C:コスト(費用)、D:デリバリー(納期≒スケジュール)
ネットワーク案件のプロジェクトリーダーになるには、メンバーを技術的にリードする必要があるため、大規模ネットワークの設計・構築が行えるネットワークスキルを身に付ける必要があります。また、他チームとの調整も重要な業務のため、クラウドやサーバーの最低限の知識も必要です。
テクニカルスキルを磨くのと並行して、マネジメントスキル・コミュニケーションスキルも身に付けていきましょう。具体的には、マネジメント関連の本を読んで実業務で実践したり、コミュニケーション方法をテーマとした研修に積極的に参加しましょう。
ステップアップのモデルケース
プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャーになるためのロードマップです。
プロジェクトマネージャーの主な業務は、プロジェクト全体の統括・管理です。基本的には、インフラ構築や開発の作業には入らず、管理(マネジメント)に注力します。
まず、プロジェクト開始前に、「プロジェクト計画」を立案します。プロジェクト計画書には、プロジェクトの目的やスケジュール、体制、各種管理方法等を記載します。
プロジェクト進行中には、「要員計画・管理・調達」、「課題管理・リスク管理」、「コミュニケーション計画・管理」を適宜見直しながら、プロジェクト全体をスムーズに遂行できるようにしていきます。
プロジェクトマネージャーになるには、テ クニカルスキルも必要ですが、何よりもマネジメントスキル・コミュニケーションスキルが重要視されます。そのため、プロジェクトマネージャーに関しては、外部から着任することや、マネジメント専門の組織(PMO)を立ち上げることもあります。
ステップアップのモデルケース
補足
プロジェクトによっては、プロジェクト内に複数のチームがあり、そのチームのリーダーのことを「プロジェクトリーダー」と呼ぶ場合があります。チームを束ねて、プロジェクト全体の責任を持つのが「プロジェクトマネージャー」です。
組織管理職
グループマネージャー・課長・部長・etc…
組織管理職になるためのロードマップです。
組織管理職とは、プロジェクト視点ではなく、企業の視点に立って、組織を管理・指揮する役職です。企業の目標達成に向けて、部門の目標や予算を策定し、売上や利益に対しての実行責任を負います。
組織内のメンバーの目標管理・人事評価も業務に加わります。そのため、メンバーの特性を把握し、適材適所を考えたプロジェクトアサインを行ったうえで、積極的にコミュニケーションを取る必要があります。組織を成長させるために、新規メンバー(新卒採用・中途採用・協力会社)の面接・面談等の採用活動を人事と協力して行うこともあります。
組織管理職になるには、業務で実績を残すともに周囲の信頼を得ることが何より大切です。組織管理職になった後も、複数プロジェクトの管理を行い、事業範囲を拡大していく必要があるため、社内の上司・同僚・部下、社外の顧客・取引先から信頼を得る努力を忘れないようにしましょう。
組織管理職は、企業によって様々な呼び方がされることがあります。「係長・課長・部長」というのが一般的ですが、「〇〇リーダーや〇〇マネージャー」と呼ばれることもあります。また、組織管理職になるための年数も企業によって様々です。積極的に若い社員を登用する企業もあれば、年功序列的にそれなりの年数が必要な企業もあります。
まとめ
ネットワークエンジニアとしてのスキルを軸にした場合、どのようなキャリアパスがあるのかを説明しました。
重要なことは、キャリアパスを歩む中で、「自分がやりがいを感じること」「自分が得意なこと」「自分にしかできないこと」を見つけ、それに合った職種を目指すことです。
例えば、、、
ネットワークの技術がとにかく好きで、とことん突き詰めたい
→「ネットワークスペシャリスト」を目指しましょう!
様々な技術を身に付けてオールラウンダーとして活躍をしたい
→「インフラスペシャリスト」や「フルスタックエンジニア」を目指しましょう!
チームを率いて成果を上げることにやりがいを感じる
→「プロジェクトリーダー」や「プロジェクトマネージャー」を目指しましょう!
企業視点に立って更に大きな成果を上げたい
→「組織管理職」を目指しましょう!
一度目指した目標の途中修正も悪いことではありません。初めはリーダーや管理職を目指していたとしても、やはり技術を突き詰めたくなり、スペシャリストの道に軌道修正することもあります。大切なのは、今の自分が何を目指していて、どこに立っているのかをしっかりと把握することです。
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