ネットワークエンジニアの業務難易度について、工程別に解説します。
「ネットワークエンジニア」についての説明は、下記を参照してください。
難易度は、どのような会社で働くのかによっても変わってきます。ネットワークエンジニアが、SES会社を選ぶ際のポイントは下記を参照してください。
ネットワークエンジニアの担当工程定義
ネットワークエンジニアの難易度は、担当する業務や工程により大きく変わります。
ネットワークエンジニアの担当工程には、いくつか考え方がありますが、ここでは下記の通り定義して工程別に難易度を説明します。
- 要件定義 〜 ヒアリング、要件分析
- 提案 〜 提案書作成と提案
- 設計 〜 基本設計、詳細設計
- 検証 〜 検証項目作成、検証作業実施
- 構築 〜 機器キッティング、ラッキング、配線
- 運用 〜 定型的な設定変更(ファイアウォール等)、問い合わせ対応
- 保守 〜 障害原因特定、障害復旧、機器交換
- 監視 〜 障害切り分け、エスカレーション、ログ管理
単純に上流と下流の2つに分ける場合、設計・構築を「上流工程」、運用・保守を「下流工程」と呼ぶことが多いです。
担当工程別の難易度
担当工程別の難易度は下記の通りです。
工程名をクリックで、個別説明へジャンプします。
担当工程 | 業務概要 | 難易度 |
---|---|---|
要件定義 | ヒアリング、要件分析 | 5.0 |
提案 | 提案書作成、提案(プレゼン) | 4.0 |
設計 | 基本設計、詳細設計 | 4.0 |
検証 | 検証項目作成、検証作業実施 | 3.5 |
構築 | 機器キッティング、ラッキング、配線 | 3.0 |
運用 | 定型的な設定変更(スイッチ等)、問い合わせ対応 | 2.0 |
保守 | 障害原因特定、障害復旧、機器交換 | 2.0 |
監視 | 障害切り分け、エスカレーション、ログ管理 | 1.0 |
超上流工程(要件定義/提案)
要件定義 [難易度 5.0]
要件定義工程では、顧客や他部署(IT関係部署以外)、他担当(開発エンジニア/サーバーエンジニア)と打ち合わせを行い、ネットワーク要件のヒアリングを行います。その後、ヒアリング結果を分析し、ネットワークの要件を取りまとめていきます。
ネットワークの利用にあたり、期待していることや困っていることが無いか等、確認観点は多岐に渡ります。また、この段階で正しくヒアリングと分析ができないと、後続工程での認識齟齬や手戻りにつながるため、慎重に行う必要があります。
ネットワークに求められる要件を、正しく・漏れなくヒアリングするには、豊富な経験と知識が必要となります。明確に要件として提示されたことだけではなく、隠れた要望も取り込む必要があるため、難易度が高い工程となります。
提案 [難易度 4.0]
要件定義工程で取りまとめた内容を元に提案資料を作成し、顧客や他部署に対して提案を行います。ネットワークのことを詳しく知らない担当者にも理解できるような資料を作る必要があります。
ネットワークの知識だけではなく、資料作成やプレゼンスキルが必要となるため、難易度は高めと言えます。
上流工程(設計)
設計 [難易度 4.0]
前工程で定義された要件を元に、基本設計・詳細設計を行います。
基本設計では、ネットワークに求められる要件をどのような方式で実現するかを設計します。ルーティング方式や障害時の切替方式、セキュリティ要件への対応方式などの設計項目があります。
詳細設計では、基本設計を元にネットワークのパラメータまで落とし込んでいきます。ここでは「論理設計」だけではなく、物理的な機器の設置位置やケーブル配線も含めた「物理設計」も行います。
新しい技術や方式を取り入れる場合、設計段階での検討要素が多く、難易度は高くなります。現行の設計を踏襲する場合は、難易度は下がります。
中流工程(検証/構築)
検証 [難易度 3.5]
設計段階で決定されたパラメータを元に検証環境を構築して、実際に動作するかを検証します。
検証項目と検証手順を作成し、その内容に沿って検証を実施していきます。案件・プロジェクトの規模によっては、検証計画書や検証結果報告書が必要な場合もあります。
検証時に想定通りの動作にならない場合は、原因調査を行い、必要に応じて設計変更を行います。原因特定ができない場合は、前工程を担当した上位者に確認を行いながら対応します。
設計通りに環境を作るための経験・知識が必要です。また、問題解決能力やドキュメント作成能力が必要な場面もあるため、状況によっては難易度が高くなります。手順通りに検証を実施する「テスター」のような役割であれば難易度は低いです。
構築 [難易度 3.0]
新規機器を導入する場合は、設計工程や検証工程の結果を元に、機器キッティング(設定)を行います。また、実際の設置場所で、ラッキング作業やケーブル配線・接続作業を実施します。
設計書で定義された項目を、機器の設定コンフィグに落とし込むこともあるため、ネットワークの基本的な経験と知識は必要となります。現場での構築作業に関しては、手順に従って実施し、想定外の事象が起きた場合は、上位者にエスカレーションすることが多いです。
手順通りに現地で構築作業を行う「フィールドエンジニア」のような仕事であれば、そこまで難易度は高くないです。構築時のトラブル対応も行う必要がある場合は、難易度が高くなります。
下流工程(運用・保守・監視)
運用 [難易度 2.0]
顧客や他部署からの依頼に伴い、定型的な設定変更や問い合わせ対応を行います。
設定変更内容は、ファイアウォールのポリシー設定やL2スイッチのVLAN設定・インターフェース設定、ルーター・L3スイッチのルーティング設定等、手順や雛形に沿って対応が可能なものとなります。
問い合わせ対応は、回答テンプレートがあったり、過去事例を参考にした回答が多い場合もあります。イレギュラーな問い合わせの場合は、上位者や別担当にエスカレーションを行います。
基本的には、定型的な作業や回答が多いため、難易度は高くないです。イレギュラーな作業や問い合わせ回答も対応できるように、ネットワーク全体構成の詳細を把握すること、知識レベルを上げていくことが大切です。
保守 [難易度 2.0]
障害発生時の原因特定、復旧手順作成、機器交換等が主な業務です。
障害原因の特定に関しては、手順に沿って特定できない特殊なケースは、設計等を担当した上位のエンジニアにエスカレーションを行います。また、ユーザー申告による機器故障の場合は、メーカーと連携して交換機の手配や交換作業を実施します。
基本的には、手順やマニュアルに沿った業務となるため、難易度は高くないです。障害時の対応が多いため、ユーザーから急ぎの対応を依頼されることが多く、コミュニケーション能力が必要な場面もあります。
監視 [難易度 1.0]
障害発生時の切り分け、エスカレーション、ログ管理等が主な業務です。
障害切り分けに関しては、フローに沿って発生した事象の確認を行い、保守担当への連携や上位エンジニアへのエスカレーションを行います。
監視業務も、基本的には手順やマニュアルに沿った業務となります。未経験からネットワークエンジニアになった際には、最初に担当することも多い工程で、難易度は低めです。
難易度に関する補足
ネットワークエンジニアの難易度については、担当工程や業務内容だけではなく、役割(メンバー/リーダー/マネージャ等)によっても変わってきます。リーダーやマネージャになると、通常業務以外に、配下メンバーの管理や教育など、マネジメントスキルが必要な業務が加わります。
どのような業務においても共通ですが、その業務に特化したスキルだけではなく、ビジネススキル全般も身につけていくことで、スムーズに業務を進められるようになります。