Cisco機器のSNMP設定【SNMPv2c】

Cisco機器のSNMP設定【SNMPv2c】

Cisco機器のSNMP設定(SNMPv2c)について説明します。SNMPマネージャからリクエストを受け付けるための設定と、SNMPトラップを送信するための設定を行います。

SNMPの基礎については、下記を参照してください。

SNMPv3の設定については、下記を参照してください。

目次

基本設定

SNMPマネージャからリクエストを受け付けるための設定

下記の設定を行うことで、同じコミュニティ名のSNMPマネージャからリクエストを受け付けることができます。

snmp-server community [コミュニティ名] [ro|rw]

ro 〜 SNMPマネージャからの情報要求のみを受け付ける。(Read-only access)
rw 〜 SNMPマネージャからの情報要求と設定変更要求を受け付ける。(Read-write access)

コミュニティ名を「public」として、情報要求のみを受け付ける場合

snmp-server community public ro
SNMPマネージャからの情報要求の例(ホスト名の取得)
Server[~]: snmpget -v2c -c public 192.168.1.100 1.3.6.1.2.1.1.5.0
SNMPv2-MIB::sysName.0 = STRING: Router1

コミュニティ名を「private」として、情報要求と設定変更要求を受け付ける場合

snmp-server community private rw
SNMPマネージャからの設定変更要求の例(インターフェースのシャットダウン)
Server[~]: snmpset -v2c -c private 192.168.1.100 1.3.6.1.2.1.2.2.1.7.4 i 2
IF-MIB::ifAdminStatus.4 = INTEGER: down(2)
Router1#
%SYS-5-CONFIG_I: Configured from 192.168.1.2 by snmp
%LINK-5-CHANGED: Interface GigabitEthernet0/3, changed state to administratively down
%LINEPROTO-5-UPDOWN: Line protocol on Interface GigabitEthernet0/3, changed state to down

SNMPトラップを送信するための設定

下記の設定を行うことで、SNMPマネージャにSNMPトラップを送信することができます。

snmp-server host [SNMPマネージャのIPアドレス(orホスト名)] version 2c [コミュニティ名]
snmp-server enable traps [有効にするトラップ名]

有効にできるトラップは多数ありますが、最低限とする場合は、下記を設定することが多いです。(インターフェースのリンクアップ/ダウン、再起動)

snmp-server enable traps snmp authentication linkdown linkup coldstart warmstart

また、トラップ名を指定せずに以下のコマンドを設定すると、全てのトラップが有効になります。一度、このコマンドで全てのトラップを有効にした後で、不要な設定を削除する方法もあります。

snmp-server enable traps
全てのトラップを有効にした場合の設定例 ※OSにより異なります。

SNMPマネージャ(192.168.1.2)に、コミュニティ名「public」としてトラップを送信する場合

snmp-server host 192.168.1.2 version 2c public
snmp-server enable traps snmp authentication linkdown linkup coldstart warmstart

詳細設定

特定のSNMPマネージャからのリクエストのみ受け付ける設定

下記の設定を行うことで、特定のSNMPマネージャからのリクエストのみ受け付けることができます。

access-list [アクセスリスト番号] permit host [SNMPマネージャのIPアドレス]
snmp-server community [コミュニティ名] [ro|rw] [アクセスリスト番号]

SNMPマネージャ(192.168.1.2)からのリクエストのみ受け付ける場合

access-list 1 permit host 192.168.1.2
snmp-server community public ro 1
アクセス制御の確認

リクエストが許可されている場合

Server[~]: snmpget -v2c -c public 192.168.1.100 1.3.6.1.2.1.1.5.0
SNMPv2-MIB::sysName.0 = STRING: Router1

リクエストが許可されていない場合

Server[~]: snmpget -v2c -c public 192.168.1.100 1.3.6.1.2.1.1.5.0
Timeout: No Response from 192.168.1.100.

SNMPによる再起動要求を受け付ける設定

下記の設定を行うことで、SNMPマネージャからの再起動要求を受け付けることができます。

snmp-server community [コミュニティ名] rw
snmp-server system-shutdown

コミュニティ名を「private」として、再起動要求を受け付ける場合

snmp-server community private rw
snmp-server system-shutdown
SNMPマネージャからの再起動要求

アクセス権がRO(Read-only)で、再起動要求が許可されていない場合

Server[~]: snmpset -v2c -c public 192.168.1.100 .1.3.6.1.4.1.9.2.9.9.0 i 2
Error in packet.
Reason: noAccess
Failed object: SNMPv2-SMI::enterprises.9.2.9.9.0

アクセス権がRW(Read-write)で、再起動要求が許可されていない場合

Server[~]: snmpset -v2c -c private 192.168.1.100 .1.3.6.1.4.1.9.2.9.9.0 i 2
Error in packet.
Reason: inconsistentValue (The set value is illegal or unsupported in some way)
Failed object: SNMPv2-SMI::enterprises.9.2.9.9.0
Router1#
%SYS-4-RELOAD_ATTEMPT: Attempt via SNMP failed, system shutdown not configured

アクセス権がRO(Read-only)で、再起動要求が許可されている場合

Server[~]: snmpset -v2c -c public 192.168.1.100 .1.3.6.1.4.1.9.2.9.9.0 i 2
Error in packet.
Reason: noAccess
Failed object: SNMPv2-SMI::enterprises.9.2.9.9.0

アクセス権がRW(Read-write)で、再起動要求が許可されている場合

Server[~]: snmpset -v2c -c private 192.168.1.100 .1.3.6.1.4.1.9.2.9.9.0 i 2
SNMPv2-SMI::enterprises.9.2.9.9.0 = INTEGER: 2
Router1#
*** --- SHUTDOWN NOW ---
*** Message from network to all terminals:
***
Null Message

%SYS-5-RELOAD: Reload requested by Net Message. Reload Reason: snmp shutdown request.
Reload requested

SNMPトラップの送信元インターフェースを指定

下記の設定を行うことで、SNMPトラップの送信元となるインターフェースを指定することができます。

snmp-server trap-source [インターフェース名]

GigabitEthernet0/1を送信元インターフェースとする場合

snmp-server trap-source GigabitEthernet0/1

SNMPトラップの確認応答を要求するための設定(SNMPトラップの再送)

下記の設定を行うことで、SNMPトラップを送信する際に、確認応答を要求することができます。(Inform Request というメッセージを送信し、応答が無ければ再送します。)

snmp-server host 192.168.1.2 informs version 2c public

Inform Request には、3つのパラメータが設定できます。

パラメータ説明デフォルト値
リトライ回数(retries)確認応答が返ってこなかった場合にリトライする回数3
タイムアウト時間(timeout)初回の確認応答を待つ時間(秒) ※115
保留メッセージ数(pending)確認応答待ちの最大トラップメッセージ数 ※225

※1 リトライ後のタイムアウト時間は徐々に延長されます。

※2 確認応答を待っているトラップ数が、この値に達すると、それ以上トラップを送信しません。

パラメータの変更は下記のコマンドで実行します。

snmp-server inform retries [0-100] timeout [0-42949671] pending [1-4294967295]

以上で、Cisco機器のSNMP設定【SNMPv2c】の説明は完了です!

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